齋藤経済産業大臣及び欧州委員会シムソン委員(エネルギー担当)による共同プレス声明(日EUエネルギー閣僚会議及びハイレベル水素ビジネスフォーラム)

EU News 047/2024

<日本経済産業省声明仮訳>

6月3日、齋藤健経済産業大臣及び欧州委員会カドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は、2022年12月に署名された日EU間の水素に関する協力覚書や、2023年7月の日・EU定期首脳協議における枠組みの下、水素ビジネス及び技術開発における協力を深化させるため、ハイレベル水素ビジネスフォーラムを実施した。

協力覚書は2021年5月に日EU首脳間で合意した日EUグリーンアライアンスを体現するものであり、カーボンニュートラルの実現に必要な分野や技術の協力を企図している。さらに、ある供給源に対する経済的依存関係や過剰生産能力から生じる全体的な脆弱性に対処することや、連携した取組を通じて公平な競争条件を促進する必要性を認識し、5月2日に開催された第5回日・EUハイレベル経済対話において共有された見方を表明した。

齋藤経済産業大臣及びシムソン委員は以下について合意した。

1. 両者は、第5回日・EUハイレベル経済対話で議論された、市場歪曲的な産業補助金といった広範な非市場的政策及び慣行に起因する戦略物資に関する特定の供給源への経済的依存関係の武器化に対する深い懸念を共有した。両者は、こうしたある供給源に対する経済的依存関係や過剰生産能力から生じる全体的な脆弱性に対処し、連携した取組を通じて公平な競争条件を促進する必要性を認識する。

2. 両者は、クリーンエネルギー分野における供給・需要サイドの政策で協力し、透明性、多様性、安全性、持続可能性及び信頼性の原則のような価格以外の要件を適切に評価する。両者は、まずは風力、太陽光、水素分野において作業を始め、今後対象分野を拡大することを確認する。

3. 両者は、同志国と連携し、透明、強靱で持続可能なサプライチェーンを可能な限り広範に構築し、強化することの重要性に合意し、上記2の作業を行う日EUクリーンエネルギー産業政策協調ワーキンググループの設置に合意する。

4. 両者は、再生可能及び低炭素水素への投資と導入を支援するという強い共通の関心を改めて表明する。両者は、今回のフォーラムは水素に関する協力覚書の履行の一環であることを想起する。フォーラムにおいては、日EUの産業界の経営トップの参加を得て、産業、ファイナンス及び支援措置及び研究開発について議論した。この結果は、次回の日・EU定期首脳協議までに両首脳に報告される。

5. 日EU間の協業を促進するため、本フォーラムにおいて参加各社からのプレゼンテーション及びビジネスマッチングを実施するとともに、両者立ち会いの下、水素分野にかかる様々な組織間の連携を促進するため以下の協力文書が署名された。

(1)水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)及び Hydrogen Europe

(2)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO

及び Clean Hydrogen Joint Undertaking (CHJU)

(3)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)及び H2GLOBAL

(4)JH2A 及び H2GLOBAL

(5)川崎重工株式会社及びダイムラー社

更に、両者は高圧ガス保安協会(KHK)及び Joint Research Centre (JRC) が水素の安全性に関する協力を深める意図があることを歓迎する。

6. 両者は次のステップとして、特に日本における水素社会推進法に基づく支援やEUにおける欧州水素銀行を含む水素に関する直近の政策進展を踏まえ、水素分野における協力に関する共同工程表を作成する。両者は、強靱で持続可能なサプライチェーン構築の重要性を念頭に置きつつ、これらの2つのスキームの機能や応募要件に関する情報を共有する。同様に、水素の標準化(例:電解槽、大規模液化水素タンク、大型車両の水素充填インフラ)や、安定的でルールに基づいた再生可能及び低炭素水素の国際貿易に関する規制的要件についての協調についても情報交換する。

 

原文はこちらをご覧ください(英語)。

 

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