日・EU友好関係の50年:ヨーロッパ・デー・レセプションにおけるパケ駐日大使のスピーチ

EU News 042/2024

 

こちらは本スピーチの原稿で、実際の発言とは異なる場合がございます。

 

大臣・大使閣下、

ご来賓およびご参会の皆様、

 

私の仲間である欧州連合(EU)加盟国大使およびコルスンスキー駐日ウクライナ大使と共に、EUそして日本におけるEUを祝う年に一度のヨーロッパ・デー・レセプションに皆様をお迎えすることができ、嬉しく思います。

 

74年前、当時のフランスのロベール・シューマン外務大臣が、戦争で完全に破壊された欧州に平和と繁栄に満ちた未来に向けたビジョンを示しました。それは、「許し」と「約束」に基づくビジョンでした。それは、かくも暗い時代の後であっても「許し」は可能であること、そしてより良い未来が待ち受けているという「約束」が平和をもたらす強力な触媒になりうるという信念でした。

 

今日の私たちであれば躊躇してしまうような、この並外れた信念から生まれたEUは、今や27加盟国で構成される民主的な連合、約4億5,000万の人口を擁する単一市場、多様な歴史や文化、言語、風習の共同体へと成長しました。

 

今年5月1日には、10カ国を成功裏に迎え入れた、2004年の最も野心的なEUの拡大から20周年を迎えました。ルーマニア、ブルガリアおよびクロアチアがそれに続きました。ウクライナとモルドバとの加盟交渉が始まり、西バルカン諸国との交渉が続いている今日、こうした拡大のプロセスは、これまで以上に重要です。

 

また、今日から1カ月も経たない6月6日~9日には、EU全域で有権者は各国の議会ではなく、欧州議会の選挙に参加します。

 

しかし、このようにEUというプロジェクトが成し遂げた数々の成功も、遂には欧州に戦争が回帰することを、ロシアによる違法で野蛮なウクライナへの侵略を止めることはできませんでした。

 

それは欧州大陸で起きてはいますが、今日、国際社会が直面するより大きな課題、つまり、武力外交への回帰と法の支配に基づく国際秩序の制度的な弱体化を象徴する戦争です。

 

それは、その帰結によっては、大西洋の沿岸国からインド太平洋の大陸・海洋国家に至る国々の命運を左右する戦争です。それゆえに、日本など世界のパートナーの支援なくして、ウクライナやEUは勝利することのできない戦争なのです。

 

本年は、日・EU関係において、そしてとりわけ当代表部にとって特別な年です。2024年、私たちは、日本にEUの在外公館が開設されて50周年を迎えます。

 

駐日EU代表部の代表として、過去半世紀に当代表部が果たしてきた重要な役割を思うと、誇りに感じると同時に身の引き締まる思いです。EUの進化に伴い、私たちの任務や活動内容も拡大してきましたが、欧州や世界各地でそうであるように、私たちは単にEU代表部としてだけでなく、28のメンバーから成る「チーム・ヨーロッパ」の一員として活動しています。

 

当代表部は、EUと日本が徐々に互いを理解し、そこから互いを尊敬し、遂には互いをパートナーとする関係へと発展する道を拓いてきました。

 

この50年にも及ぶ道程を経て、今日、日本はEUにとってインド太平洋地域における最も緊密な戦略的パートナーとなるに至りました。ルールに基づく国際秩序がその存在を脅かす課題に直面し、分断された世界で爆弾が降り注いでいる現在、私は、EUと日本はこれまで以上にお互いをパートナーとして必要としていると感じてます。

 

「危機に遭っては、消防士だけでなく、建築家も必要だ」。高名なジャック・ドロール前欧州委員会委員長は、かつてそう言いました。ウクライナでの戦争や分断された世界、世界各地でその他数多くの課題に直面する中、EUは、日本が消防士としてのみならず、変革に向けたビジョンを共有する建築家として共にあることに感謝し、誇りに思います。

 

気候・環境の危機であれ、デジタル化による社会・経済の構造的な変化であれ、EUと日本は、世界中の多くのパートナーに働きかけ、将来に向けて解決策を編み出すために連携しています。2025年に開催される大阪・関西万博では、EUパビリオンや数多くのEU加盟国のパビリオンで、こうした取り組みを展示する予定です。

 

この極めて重要でますます盛んになる日・EUパートナーシップが求める成果が増えるのにつれて、私たち駐日欧州連合代表部が日々実践している外交活動も継続・拡大していきます。それに関して、献身的に働いている当代表部の職員や各EU加盟国大使その他の「チーム・ヨーロッパ」を構成する人々に感謝申し上げます。

 

また、この場を借りて、こうした取り組みに力を貸してくださっている日本のパートナーや同僚、支援者、友人の皆様に厚く御礼申し上げます。

 

次の50年に向けて!

ハッピー・ヨーロッパ・デー!

 

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