EUと日本、高度バイオ燃料と代替再生燃料に関する画期的な研究に 1,070万ユーロを共同助成

14.04.2021

EU News 95/2021

<日本語仮訳>

欧州委員会の研究・イノベーション総局は、本日、高度バイオ燃料と代替再生燃料分野における3件の日本との共同研究・イノベーションプロジェクトを開始することを発表した。「日・EU科学技術協力協定」の枠組みに基づいて、欧州連合(EU)と日本国政府(文部科学省)が共同で支援する公募により選ばれたこれらのプロジェクトは、2021年5月1日より開始する。

3件のプロジェクトに対して総額1,070万ユーロの資金が提供される。その内、EUの研究・イノベーション枠組み計画(2014~2020年)「ホライズン2020」から950万ユーロ、日本科学技術振興機構(JST)が管轄する日本の「戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)」から約120万ユーロが助成される。

マリヤ・ガブリエル欧州委員会イノベーション・研究・文化・教育・青少年担当委員は、「気候変動に関するパリ協定の野心的な目標を達成するには、化石燃料を完全に代替する必要がある。EUと日本の研究者、機関、産業が協力することは、高度バイオ燃料と代替再生燃料に関する画期的なイノベーションを促進し、同分野における日欧の技術基盤を強化するものだ。EUの次期研究・イノベーション資金助成計画である『ホライズン・ヨーロッパ』における、さらなる協力の強化に期待している」と述べた。

選定された3件のプロジェクト

LAURELINは、大型車による道路輸送用の燃料として活用が期待される再生可能メタノールに特化したプロジェクトで、磁気誘導、非熱プラズマ誘導、マイクロ波などの技術を活用し、二酸化炭素の水素化に関する画期的な触媒システムと新技術の開発を目指す。欧州の8つの機関と日本の2つの機関が、490万ユーロの共同助成を受ける。

4AirCRAFTは、市場が拡大している航空輸送で急務となっている低排出・実質排出ゼロの燃料に関するプロジェクトで、3つの主反応を1つのリアクターで組み合わせることにより、航空用に直接二酸化炭素を液化燃料化する次世代触媒の開発を目指す。欧州の7つの機関と日本の1つの機関から成るコンソーシアムが、260万ユーロの共同助成を受ける。また、ブラジルの1機関も参加する。

ORACLEは、船舶の燃料として活用が期待される再生可能アンモニアを、窒素とH2Oから合成することを目的とするプロジェクトで、電気化学触媒、プラズマ触媒、熱触媒反応によるアンモニア合成法を開発・検証し、アンモニアを現地生産することを目指している。欧州の6つの機関と日本の2つの機関から成るコンソーシアムが、320万ユーロの共同助成を受ける。

本日の発表は、第27回日・EU定期首脳協議に向けた一歩となるとともに、グリーン経済への移行に対する共通の野心を含む、日・EU戦略的パートナーシップを直接後押しする。

背景

これらのプロジェクトは、「日・EU科学技術協力協定」の枠組みに基づいて資金を提供する公募により選定された。今回の公募は、低価格のバイオエネルギーキャリアや水素以外の非食用・飼料用の原料ベースの高度バイオ燃料と代替再生燃料の獲得を目指す、革新的で高性能の新しい触媒技術の開発を支援している。EUと日本の専門家による第三者委員会が30件の質の高い提案を審査し、審査を通過した26件の中から3つのプロジェクトが選定された(30件の提案のうち、1件はEUのみに提出された)。


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