欧州および世界の死刑廃止デーに寄せるEU上級代表と欧州評議会事務総長の共同声明

08.10.2021

EU News 222/2021

<日本語仮訳>

2021年10月10日の欧州および世界の死刑廃止デーに際し、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレルEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長と、欧州評議会のマリヤ・ペイチノヴィッチ=ブリッチ事務総長は、以下の共同声明を発表した。

「欧州および世界の死刑廃止デーに当たり、EUと欧州評議会は、いついかなる状況下でも極刑に強く反対することを再確認する。死刑は、残虐で非人道的かつ屈辱的な刑罰であり、生存権に反している。死刑廃止は、人間の尊厳への尊重を確保するために不可欠である。

本年の世界死刑廃止デーは、女性に捧げられている。世界の死刑判決に占める女性の割合はわずかだが、ジェンダーに基づく差別は、刑事司法制度のあらゆるレベルで女性に影響を与え続けている。一部の国では、姦通など性道徳に係る犯罪に関して、女性は男性よりも高い割合で死刑判決を受けている。さらに、ジェンダーに基づく暴力や虐待に関する減軽事由は、刑事手続きで考慮されることはまれである。

死刑の廃止は、何よりも政治的な意思の問題である。われわれは、現在も死刑を執行している国の数が減少し続けていることを歓迎する。昨年、死刑が執行されなかった国は、国連加盟国の91%に当たる176カ国に上った。毎年、死刑の世界的な廃止に向けた新しい歩みが見られる。10月8日、シエラレオネは死刑を廃止した。本年は、米国のバージニア州でも死刑が廃止された。米国において、バイデン大統領が連邦レベルで死刑を廃止する意思を示していること、また司法長官が死刑のモラトリアム(執行停止)を指示したことは、今後に向けた重要な一歩である。アルメニアは、死刑廃止に関する第二選択議定書を批准し、カザフスタンは、批准に向けた最終的な手続きを進めている。われわれは、ベラルーシに対して廃止に向けて進むことを求める。

極刑に使用される物品の貿易を止めることは、死刑の撤廃のために特に重要である。EUの拷問禁止規則を反映して、欧州評議会は本年、こうした非道な貿易への欧州の参加を止めることを目的とする勧告を採択した(『死刑、拷問およびその他の残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰に使用される物品の貿易の対策に関する』勧告 CM/Rec〈2021〉2 )。われわれは、欧州評議会の全加盟国が同勧告を実施するように促す。われわれは、『欧州人権条約』の関連議定書に未加入の欧州評議会加盟国が、速やかに加入することを期待する。『拷問に関与しない貿易のための国際的提携』には、現在、62カ国が参加している。われわれは、全ての国家に対して、同提携への参加と拷問に関与しない貿易に関する共通の国際基準の確立に向けた取り組みの強化を呼びかける。

2022年死刑廃止世界会議に先立って、われわれは、死刑やそれが家族や社会に与える恐ろしい影響に関する国民的議論と啓発活動の強化を引き続き支援する。われわれは、これ以上死刑判決が下されことがなくなるまで、われわれの取り組みや警戒、死刑廃止が未達成の国々との対話、市民社会やNGOへの支援を止めることはない」


も参照してください