EU、積極的なワクチン生産と国際的配分支援を継続

欧州連合(EU)とその加盟国は現在、世界各地にワクチンを提供している。EU域内のワクチン製造業者の総輸出量は、経済協力開発機構(OECD)の全加盟国の中で最も多い。その功績は、欧州委員会が2021年1月30日に導入したワクチン輸出透明性・承認メカニズムの下で十分に裏付けられている。
数字はこの状況を明確に示している。1月30日から5月25日*までの間に、EU加盟国から46の輸出先に2億2,700万回分のワクチンの出荷が承認された。これら輸出先には、国内にもワクチン製造能力を有す国、ワクチン接種率の高い国、および欧州に比べて疫学的状況が良い国も含まれている。当該期間中の1,075件の輸出申請のうち、却下されたのは1件だけである。なお、実際の出荷はワクチン製造会社の責任の下で行われる。
日本は現在、EU域内で製造されたワクチンの最大輸出先国である。5月25日*までにEU加盟国は、日本政府のワクチン接種を支援すべく、約1億回分のワクチンの輸出を承認している。EUはまた、中低所得国へのワクチンの公平な配分を目指す国際枠組み「COVAXファシリティ」への主要資金提供者である。
同時に、EU域内のワクチン接種も着実に進んでいる。5月30日*までにおよそ4億4,770万の人口を抱えるEU域内には、約3億回分のワクチンが供給される見通しだ。
EUとその加盟国などで構成する「チーム・ヨーロッパ」は今後も、ワクチン製造をさらに増強し、欧州市民に提供するとともに、日本はじめ他のパートナーにも供給できるよう、最大限の努力を続けるつもりである。
EU域内にはいくつもの主要ワクチン製造拠点があり、そのうちの一つ、ビオンテックとファイザー社が提供している非常に効果的なワクチンは、EU域内の小さな革新的バイオ技術企業によって開発された。
新型コロナワクチンの研究、イノベーションおよび生産に向けられた30億ユーロ近いEUの初期投資は、EU域内での生産能力の拡大の一助となり、これは欧州および世界全体にとって良い投資となった。ワクチンが世界的に不足する中、「全ての人が安全でなければ、誰も安全ではない」ことに何の変わりはない。パンデミックから脱する唯一の方法は、協力と連帯である。
<* 5月28日 更新>