欧州委員会、EU加盟手続きの改定を提案

05.02.2020

EU News 30/2020

<日本語仮抄訳>

 

欧州委員会は本日、欧州連合(EU)への加盟に向けた一連のプロセスを、より信頼でき、強力な政治的助言に裏打ちされ、動的で予測可能にすることで推進していくための提案を発表した。

 

EU加盟プロセスの強化――西バルカン諸国に信頼できるEUへの展望を提供

 

より信頼できるプロセス:加盟手続きは、EUと西バルカン諸国双方の信頼・相互信用・明確な約束を土台にする必要がある。信頼性は、法の支配や民主的諸機関の機能および行政をはじめとする抜本的改革と、加盟候補国の経済にさらに焦点を置くことで強化されるべきである。EU加盟国は、パートナー国が客観的条件を満たした場合、功績に基づいたアプローチを尊重し、加盟に向けた次の段階に進むことに同意すべきである。

 

より強力な政治的助言:加盟プロセスの政治的本質には、最高レベルでのより強力な政治的助言と関与が求められる。欧州委員会は、定期的なEU・西バルカン諸国間の首脳会議やより緊密な閣僚間の連絡を通して、ハイレベルな政治的・政策対話を増やすことを提案する。さらに、EU加盟国は加盟プロセスの監視と評価により体系的に関わるべきである。安定化・連合協定の下の全ての組織は、主要な政治的問題や改革により焦点を当て、政府間会議は交渉により強力な政治的助言を与える。

 

より動的なプロセス:交渉過程をより動的なものにするため、欧州委員会は交渉対象の章を基本要素、域内市場、競争力と包摂的な成長、環境関連議題と持続可能な連結性、資源・農業・結束、対外関係という6つのテーマ群に括ることを提案する。交渉開始のための基準を満たした後、各テーマ群に関する交渉は、個別の章ごとではなく、テーマ全体を対象とする。交渉は基本要素のテーマ群から始まり、同テーマ群で締めくくられ、ここでの進捗状況が交渉全体のペースを決める。テーマ群の交渉開始と個別章の交渉終了の間の期間は、改革の進捗状況に完全に依存するが、なるべく1年以内に限定されるべきである。

 

より予測可能なプロセス:欧州委員会は、プロセスの異なる段階で、EU側が加盟候補国に対し何を期待しているかをより明確に示す。改革の進展でどのような前向きな結果が導かれ、進展のない場合の悪影響について、よりはっきりさせる。

 

要求の厳しい改革を促すため、欧州委員会は加盟候補国が加盟に向けて歩みを進めるための条件をさらにわかりやすく定義し、市民の直接の利益となる明確かつ具体的なインセンティブを示す。これらには、公正な競争を確保した上での個別のEU政策・EU市場・EUの各種計画への統合や「編入」の加速化や、資金助成や投資の増加などが含まれうる。加盟候補国が改革に取り組めば取り組むほど、プロセスは進む。同様に、欧州委員会は、改革の実施や加盟プロセスのための条件を満たすにあたり、深刻もしくは長期的な停滞や後退に対し、それに釣り合うより断固とした制裁的措置を提案する。特定領域における交渉を中断したり、最も深刻な場合は全体的に休止し、既に交渉を終えた章を再度交渉対象にすることも可能となる。また、EUの各種計画への参加などより緊密な統合の利益を停止・撤回し、EUの資金助成の規模や強度を下方修正することもありうる。

 

EUについてさらに知りたい場合は日本語のオンラインマガジン『EU MAG』をご覧下さい。

も参照してください