国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日に寄せる、モゲリーニEU上級代表の声明
<日本語仮訳>
フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、5月17日の国際反ホモフォビアの日に寄せ、EUを代表して以下の声明を発表した。
「『国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日』に際し、EUは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス(LGBTI)の人々の人権の推進と擁護に対する揺るぎないコミットメントをあらためて明示する。
世界中で今もなおLGBTIの人々は、文化的、伝統的もしくは宗教的な価値を根拠とした、しばしば憎悪に起因する犯罪(ヘイトクライム)や拷問・殺人など極度の暴力を伴う、迫害、差別、いじめ、深刻な虐待の対象となっている。
今もなお、72の国において、性的指向に関する法律により同性間の性行為は犯罪とされており、それ以外の国でも、十分な水準の法的保護が存在しないため、LGBTIの人々は、生活のあらゆる場面においてさまざまな形態の差別にさらされている。EUは、LGBTIの人々に対する差別は、『世界人権宣言』に謳われている最も基本的な人権の原則の侵害であることをあらためて断言する。
EUは、域内外で、LGBTIの人々への差別や暴力行為が処罰されずにいることに対して引き続き闘っていく。これに関連して、欧州委員会は、2016年から2019年に実施する『LGBTIの平等の強化のための行動リスト』を発表した。同行動リストには、非差別、教育、雇用、健康、移動の自由、庇護、ヘイトスピーチ・ヘイトクライムから拡大と外交政策に至るまで、さまざまな関連する政策分野の活動が含まれている。
EUは、対外行動を通じて定期的に第三国と政治的な対話を行い、また的を絞った資金援助を実施して市民団体を支援している。2016年以降、EUは、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、および東欧の市民団体が実施している16のプロジェクトに対して、約520万ユーロ相当の支援を提供してきた。2018年には、EUは、世界中のLGBTI団体を支援するため、1,000万ユーロ相当の特定の提案公募を開始した。さらに、近年『非差別に関するEU人権ガイドライン』が採択されたことで、LGBTIの人々が人権を享受することを推進・擁護するための既存のEUガイドラインも強化された。
不正に立ち向かい、抑圧と差別を被っている人々の声を届けようと取り組んでいる数多くのLGBTIの人権擁護活動家が、欧州や世界各地で頻繁に攻撃されている。だからこそ、2018年11月以来、EUは、『民主主義と人権に関する手段』を通じて、LGBTIの人々が最も差別される恐れの高い地域で活動している、LGBTIの人権擁護活動家とその団体を支援している。
EUは、加盟国と連携して、こうした人権擁護活動家の重要な取り組みに対する支援を継続し、LGBTIの人々が自由で安全に暮らせるようになるまで支援を止めることはない」
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