11月2日のジャーナリストへの犯罪不処罰をなくす国際デーに寄せるEU声明
<日本語仮訳>
フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、EUを代表して以下の声明を発表した。
「民主主義は、自由で多様なそして独立したメディアなしには存在できない。世界各地でジャーナリストやメディア関係者は国家、公務員、企業および社会全体に対し、自身の行動の責任を取らせる役割を果たしている。しかしながら、彼らの内のあまりに多くの者がその職務を遂行するだけで脅しや攻撃に直面する一方で、これらの攻撃の加害者側はしばしば全く罰せられることなく行動している。
国連総会決議第68/163号により『ジャーナリストへの犯罪不処罰をなくす国際デー』と制定された11月2日に、われわれは世界各地で自らの職務に従事したために命を失い、攻撃に遭った全てのジャーナリストに敬意を表する。また、同様の敬意を、もはや調査を遂行できなくなってしまった同僚に代わり、その仕事に携わり続けている勇気あるジャーナリストたちにも表したい。
EU域内で起きた調査報道ジャーナリストだったダフネ・カルアナ・ガリチアとヤン・クツィアク両氏の暗殺は、世界のいかなる地域でもこれが起こりうることを示した。イスタンブールのサウジアラビア総領事館でのサウジ人記者ジャマル・カショギ氏の件同様、これらの卑劣な犯罪は徹底的に調査・訴追されなければならない。われわれは、サウジアラビアに対し、徹底的で信頼に足る、透明性のある調査に協力することを要請し、それを期待している。また、同氏の死をめぐる状況が明確になり、その責任を負う全ての者の全面的な説明義務を果たすことの必要性について強く主張している。
現在、しばしばメディアの仕事の信用を落とし、無力にさせるために信頼性を見境いなく疑問視することで、自由なジャーナリズムの場を侵食かつ縮小させるという、憂慮すべき傾向が多くの国において見受けられる。ジャーナリストは、嫌がらせや政治的圧力、検閲、迫害を恐れることなく、ネット上および実際の生活において安全で安心して仕事ができる環境を必要としている。全世界のメディア機関やジャーナリストが完全に独立した形で仕事の責任を果たせるよう、厳正な法制度が彼らを守らなければならない。偽情報が台頭する時代において、市民全員の利益のためにジャーナリストが正確な報道を進めていけるようにするには、彼らの安全は保障されなければならない。
EUは引き続き、ジャーナリズムの質、公的情報へのアクセス、および表現の自由を高めるために自身が有する適切な対外政策と資金手段の全てを駆使していく。今後も「欧州報道・メディアの自由センター」への資金支援を続け、人権擁護活動家支援プログラムを通じた、的を絞った保護策を提供し続ける。
EU域内外の全ての国は、授権的な法環境を提供し、ジャーナリストに対する脅迫を真剣に受け止め、実際の攻撃に対しては厳しく取り締まることで、表現の自由やジャーナリストの安全を守る義務を果たす責務がある。われわれは、皆がジャーナリストの安全と不処罰の問題に関する国連の行動計画に沿って防止策を強化し、全ての関係者を動員し、各国で安全メカニズムを構築することを期待する。
自由なジャーナリズムは自由な社会の支柱であり、それを弱体化させることはわれわれ自身の自由を弱体化させることを意味する」