欧州および世界の死刑廃止デーにあたり、EU上級代表と欧州評議会事務総長が共同声明を発表
<日本語仮訳>
2018年10月10日の欧州および世界の死刑廃止デーに際し、欧州連合(EU)を代表するフェデエリカ・モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長と、欧州評議会のトールビョルン・ヤーグラン事務総長は、以下の共同声明を発表した。
「欧州および世界の死刑廃止デーに際し、欧州評議会とEUは、いかなる状況下でも、全ての事件において極刑に強く反対することをあらためて表明する。死刑は人間の尊厳とはかけ離れたものである。それは残虐で非人道的かつ屈辱的な扱いであり、生存権に反する。死刑には実証された抑止効果はなく、誤審を取り返しのつかないものにする。
EUと欧州評議会の全ての加盟国は死刑を廃止した。法制上もしくは実際面で死刑を廃止することは欧州評議会の加盟条件であり、あらゆる状況での死刑を完全に廃止することは、欧州人権条約の第6、第13議定書とEU基本権憲章で確立されている。われわれは、未だにこれらを批准していない欧州各国に対し、批准するよう促したい。
われわれはまた、欧州大陸で唯一死刑を行っている国であるベラルーシの当局に対し、同国を汎欧州的な基準と合致させるための決定的な一歩となる、モラトリアム(執行停止)を導入するよう、再度呼びかける。
世界的レベルでは、欧州評議会とEUは、死刑廃止に向けた作業を継続する。われわれは、今後予定される、国連総会での死刑のモラトリアムに関する決議を支持するほか、EUとベルギーは2019年2月下旬にブリュッセルで開催される第7回死刑反対世界会議を共催する。
モラトリアム導入までの措置として、欧州評議会とEUは、今なお死刑を適用している各国に対し、現時点の死刑囚の刑を禁固刑に減刑し、いずれにしても拘置状況が人間の尊厳を尊重するよう、促したい。国際法に鑑み、これらの国々は未成年者、妊婦もしくは精神疾患や知的障害を有する人々に対し刑を執行してはならない。さらに、経済犯罪で有罪になった者や、自らも配偶者間レイプなどの深刻な罪の被害者で、真の自衛を動機とした行為の結果、他人の偶発的な死をもたらした人々に対する死刑は正当化できない。加盟国は、薬物に関する犯罪が死刑の適用が認められる国の薬物政策を共助もしくはその他の協力方法を通して、支援することは慎むべきである。
加盟国は引き続き、いかに間接的であっても、第三国の死刑執行への自らの関与を防ぐ効果的な措置を取るべきである。例えば、刑の執行に使用されうる器具の貿易を防ぐ措置を取ることなどが挙げられる。この文脈において、欧州評議会とEUは今後も『死刑と拷問に使用される器具の貿易を止める世界的同盟』を促進していく」
『EU MAG』
「死刑制度のない世界」を目指すEUの取り組み 2014年9月号 特集