ホロコースト犠牲者を想起する国際デーに寄せたモゲリーニEU上級代表の声明
<日本語仮訳>
フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、ホロコースト犠牲者を想起する国際デーを前に、以下の声明を発表した。
「ホロコーストと第二次世界大戦は、欧州の近代史を定義する他に類をみない出来事となった。われわれのEUは、『二度とないように』との気持ちを土台に、創設された。ナチス政権とその同盟諸国は、ユダヤ、ロマ、シンティの人々、同性愛者、障害を持つ人々、ナチスのイデオロギーを共有しない人々を殺害することにより、欧州の多様性を破壊しようとした。この、人類史における最大の悲劇の後、われわれは、多様性を受容し、EUの基礎とした。
しかし、70年が経過した今なお、反ユダヤ主義、差別、ヘイトスピーチが欧州において再び拡大している。この様な愚の骨頂に最も効き目のある解毒剤は、知識である。子どもたちがホロコーストについて学び、アウシュビッツや他の強制収容所を訪問することで、何が起きたのかを理解し、同じことを再び起こさないようにすることが、肝要である。
だが、それにも増して重要であるのは、ユダヤ人文化が、これまで常にそうであったように、欧州の共通文化の一部として存在し続けることにある。EUの歴史は、ユダヤ人の歴史とつながっている。EUは、ホロコーストの記憶を抜きにして存在しえない。EUは、欧州のユダヤ人無しに存在しえない。
この記憶を守り、伝えることが、命を落とした人々に対する、そしてわれわれの子どもたちに対する義務である。記憶は過去に遡るだけのものではなく、われわれの今と将来を形付けるものでなければならない。ホロコースト犠牲者を想起する国際デーに寄せる言葉は、残りのすべての日に政策として実行されなければならない。そして、われわれは日々、パートナーと協力し、地域全体におけるテロ、反ユダヤ主義、外国人嫌悪、ヘイトスピーチの撲滅のために、努力を続ける。ホロコーストの記憶のみならず、欧州大陸の文化的・宗教的多様性を守るために、働き続ける。ホロコーストの記憶を尊重する唯一の道は、追悼をより良い将来への約束に変えることだ」
© European Union, 2018