世界報道自由デー(5月3日)に寄せる、EUを代表したモゲリーニEU上級代表の声明
<日本語仮訳>
フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、EUを代表して以下の声明を発表した。
「われわれは、『世界報道自由デー』に際し、信頼できる正確な情報を伝達するだけではなく、民主主義の柱としての自由な報道が果たす重要な役割を祝う。民主的なプロセスの質は、表現の自由ならびにメディアの自由と多元的共存の状況と関係している。報道に真の自由がないところに民主主義は存在しない。
検証された正確な情報を一般市民に伝えることを保証するという重大な責任を担う一方、自由で多様な独立したメディアは、多元的な開かれた社会の基礎でもある。調査報道は、あらゆるレベルで政府や諸機関に自らの行動や義務に関する説明責任を負わせる上で、一般市民を支援する必要な監視の役割を果たしている。しかし、組織的に報道の信頼性を損なわせることなどを通じて、自由な報道を可能にする空間を制限しようとする傾向がますます強くなり、あまりにも多くのジャーナリストが不都合な真実を暴露したために生命を奪われるか、危険にさらされる事態が生じている。
本年、全世界的にこの国際デーの制定26周年を祝うことは、ディスインフォメーション(虚偽情報)が横行する時代の選挙報道のあり方という現在の課題や、民主主義、平和および和解を支えるメディアの潜在能力について考える機会でもある。ディスインフォメーションは、世界各地の民主的プロセスや公共の場での議論に悪影響を与える恐れが強く、EUもその例外ではない。
だからこそわれわれは、ディスインフォメーションに対する社会の耐性を高めるために欧州レベルでの取り組みを強化する『ディスインフォメーションに対するEU行動計画』を発表した。同行動計画では、ディスインフォメーションの検出、EUとその加盟国の対策の協調と連携、民間企業が自身のコミットメントを果たすことに向けた働きかけ、および市民の意識向上とエンパワーメントに取り組んでいる。健全な民主主義には、開かれた自由で公正な公共の議論が必要であり、この空間を守り、憎悪、分断、および民主主義への不信を煽るディスインフォメーションを拡散させないことはわれわれの責務である。
EUは、域内だけではなく、質の高い報道、報道の自由および公共情報へのアクセスの改善に的を絞ったプロジェクトに資金を提供することなどを通じて、域外の第三国との関係の中でも自由で公正なメディアを促進している。自由な報道に対する抑圧が高まる中、EUは域内外で報道とメディアの自由を守る決意をあらためて確認する」
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