駐日欧州連合代表部

日・EU科学技術関係

研究・イノベーションに精力的な欧州

欧州は、研究・イノベーション分野において、長い伝統と優れた歴史を持っています。欧州連合(EU)の人口は世界のわずか約7%ながら、世界の総研究支出の4分 の1、高被引用論文および特許出願の3分の1を占めています。研究・イノベーションは、EUの28加盟国それぞれのレベル、およびEUレベルの双方で推進されています。

本ページでは、EUの研究・イノベーション政策に関する基本的な情報、日本との協力、およびEUの主要な資金助成プログラムである「ホライズン2020(Horizon 2020」について紹介します。なお、ホライズン2020への参加方法についてはこちら(英語)、その他こちらでもホライズン2020について特集しています。

 

EUによる研究・イノベーション促進

EUは1984年に、多年次資金助成プログラムである「研究・技術開発枠組み計画(Framework Programme=FP)」を開始し、2013年まで7次にわたって、研究・イノベーションを推進してきました。2014年から2020年までの7年間を対象とする現行の枠組み計画「ホライズン2020」は、総額800億ユーロに迫るEU史上最大のプログラムで、公募とピアレビュー、競争原理(competitive call process)に基づき、研究機関、大学、革新的な企業や中小企業に資金を分配します。助成は、卓越した科学、産業リーダーシップ、競争力の強化、および社会的課題の解決を支援することを目的としています。ホライズン2020で重要なのは、世界各国の研究者が参加できる点です。

そのほか、EUはさまざまな取り組みを通して研究・イノベーションを推進しています。EUの主導の下に実現した欧州研究領域(European Research Area=ERA)は、欧州を研究を行う場として一つに統合し、世界に開き、研究者・知識・技術の移動の自由を確保しました。ERAは、EUおよび加盟国の科学的・技術的基盤、競争力、そしてグローバルな課題に共に取り組む力を強化することを目的としています。

賢く、持続可能で包括的な成長を目指す欧州2020 (Europe 2020)の旗艦イニシアチブの一つであるエネルギー同盟(Energy Union)は、EUの世界トップクラスである科学的成果をさらに発展させ、イノベーションへの障壁を取り除き、特にEU諸機関、国、地方自治体や企業間のイノベーショ ンパートナーシップを通して、産・官が協力する方法に変革をもたらすことを目的とし、30以上の行動項目に細分化されています。

 

科学技術イノベーションにおける日・EU協力

日本とEUは、1988年以降、さまざまな二者間・多極間協定を締結してきましたが、近年ますます緊密で多角的な関係を築いています。 科学技術イノベーション分野においては、2009年に科学技術協力協定(英語)に署名、2011年3月29日に発効しました。この協定により、日・EUは科学技術分野における協力を一層拡大・強化することを誓約し、また、科学技術政策に関する情報・意見交換、優先分野の特定、両国の研究・イノベーションプログラムへの相互参加などを討議する場として、科学技術協力合同委員会を設置しました。この委員会は少なくとも2年に1回開催されています。1回合同委員会は2011年6月、次いで2回合同委員会が2013年の同月に、東京にて開催されました。3回合同委員会はブリュッセルに場所を移し、2015年5月18日に開催。この会合において、日・EU間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップに関する共同ビジョンを採択しました。

科学技術イノベーションにおける日・EUの緊密で友好的な関係は、日・EU両首脳によっても認識され、首脳らは科学技術協力の潜在力を解き放つことを求めました(第21回 日・EU定期首脳協議 共同プレス声明17項)。以降の首脳協議においても、同様の決意が繰り返されています(22回 日・EU定期首脳協議 共同プレス声明14項)。2015年5月29日に開催された第23回定期首脳協議では、両首脳陣により、日・EU間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップに関する共同ビジョンが承認されました。

 

日・EU協力

EUにとって日本との協力は戦略的な重要性を持ちます。日本とは、研究における優先事項や社会的課題の多くを共有しており、そのような意味合いでも、ホライズン2020への日本からの参加を歓迎します。

日・EU協力の事例

  • ホライズン2020の一般公募を通した協力。日本からは全ての分野、プロジェクトに応募可能。日本をはじめとした先進国の場合、特定の互恵的協定が結ばれている、あるいはワークプログラム(WP)に記載されているなどの例外的なケースを除いて、EUの助成対象とはならない。2015年10月に、科学技術振興機構(JST)と欧州委員会による新しい共同助成の枠組みがスタートし、これにより、ホライズン2020に参加する日本の研究者に対してJSTが研究費を提供することが可能になった。2016年~2017年のWPにおいては、「パワーエレクトロニクス(NMBP-02-2016)」、「希少元素代替材料(NMBP-03-2016)」の2分野における公募に適用されている。詳細はJSTの公募ページを参照。
  • EUと日本の省庁による共同公募を通した協力。共通の関心分野における共同プロジェクトに対し、双方が自国の研究者に対して同額の助成を提供する。直近では、太陽光発電、超伝導、航空、希少原料、情報通信技術(ICT)において共同公募が実施された。
  • 国際熱核融合実験炉(ITER、イーター)のような多極間の枠組みを 通した協力。ITERとは、トカマク方式による核融合エネルギーが科学技術的に成立することを実証するための、超大型国際科学実験プロジェクトのこと。EU、中国、インド、日本、韓国、ロシアおよび米国が参加している。ITERは2010年にフランスのカダラッシュで建設が始まった。今後、次の段階のため――商業目的で核融合エネルギーを利用できることを実証炉を使って証明するため――の、さまざまな技術をテストする。ITER以外の多極間協力プロジェ クトとしては、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)が挙げられる。
  • 原子力エネルギーにおける協力は欧州原子力共同体(Euratom=ユーラトム)の下で行われている。
  • 核融合エネルギー研究における分野では、そのほかに「幅広いアプローチ活動」(Broader Approach=BA)として、日・EUで協力を図っている。BA活動では、核融合エネルギー実証実験炉の実現に向けて、3つのプロジェクトが進められている。
  • 日・EUの政策立案者は、毎年10月上旬、STSフォーラム前日に京都で開催される日・EU科学政策フォーラム2015年特集記事をはじめとし、さまざまな場において対話を重ねている。
  • 研究・イノベーション分野における日・EU協力を幅広く知っていただくため、一般市民に向けたアウトリーチ活動を行っている。2015年11月には、日本最大級のサイエンスコミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ」に、欧州として初めて参加。国際協力をハイライトした企画が評価され、日本学生支援機構東京国際交流館賞を受賞した(2015年特集記事

第6回日・EU科学技術政策フォーラム(2015年10月3日、京都)

2015年サイエンスアゴラにおけるEUの企画(YouTube

2016年サイエンスアゴラにおけるEUの企画

欧州研究会議(ERC)設立10周年記念「Beyond the first 10 years (最初の10年とその先)」(2017年3月29日、駐日EU代表部にて)

*ジャン=ピエール・ブルギニョンERC理事長による基調講演およびERCから助成金を受給した日本人研究者たちのビデオメッセージはこちらでご覧頂けます。

 

将来に向けて

日本とEUはこれまで協力を重ねてきましたが、研究協力のさらなる強化を目指し、現在さまざまな活動に取り組んでいます。FP7の共同研究プロジェクトでは、幅広い分野において100件を超える日本からの参加がありました(下記図参照)。

Japanese researchers have also participated in mobility programmes funded under the Marie-Curie actions of FP7 as well in ERC grants. This trend continues under Horizon 2020.

 

そのほか、日本の研究者はFP7の下、マリー・キュリー・アクションズ(現在はMSCA)の研究者交流プログラムやERCの助成に参加しています。この仕組みや傾向はホライズン2020でも継続されています。

日本との主要な相互関心分野としては、希少原料、航空を含む運輸研究、ナノテクノロジー、健康、食料安全保障、ICTが挙げられますが、そのほかに も再生エネルギー、海洋研究やロボット分野においても協力の可能性があります。また、エネルギー(原子力を除く)、原子力安全、宇宙研究、安全保障研究やユーラトムにおいても協力推進を図っています。日本からの参加が特に期待される分野については、こちらをご参照下さい。

これまでの日・EU協力について、より詳しく知りたい方は日・EU共同研究プロジェクトの事例をご覧下さい。

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