駐日欧州連合代表部

世界のあらゆる国と地域での死刑廃止を目指す共同メッセージ

Brussels, 13/03/2021 - 09:00, UNIQUE ID: 210309_1
Local Statements

EU News 74/2021

日本弁護士連合会,国際弁護士連盟(UIA)及び駐日欧州連合代表部は,第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)に際し,世界に向けて,とりわけ,いまだ死刑制度を残している数少ない国の,そして死刑執行を継続しているさらに数少ない国の政府と立法府の皆様に死刑廃止に向けて積極的に動き出すことを呼びかけます。

国連犯罪防止刑事司法会議は,元々世界の刑事司法を改革し,法の支配と人権の保障を確立するために始まりました。この会議においては,1975年の「拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰を受けることからのすべての人の保護に関する宣言」以来,数多くの刑罰改革についても提言を行ってきました。ここに,刑罰制度は,犯罪への応報に止まらず,罪を犯した人々を人間として尊重し,自らの意思により社会に復帰することを目指さなければならない時代となりました。

その時代は,6,000万人余の人々の生命を奪った第二次世界大戦後の1948年の世界人権宣言に始まりました。その後,1966年に採択された経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)及び市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約),1989年に採択された,いわゆる死刑廃止条約(死刑の廃止を目指す自由権規約の第二選択議定書)と進み,1998年に採択された国際的な犯罪に対する国際刑事裁判所に関するローマ規程にまで進みました。もはや同規程に死刑はありません。

2020年現在,国連に加盟する193か国のうち,死刑制度の存在しない国は112か国であり,10年以上に渡って死刑を執行していない国は50か国になります。実に,8割以上の国々が過去10年以上にわたり死刑を執行していません。そして2020年に国連総会本会議に提出された死刑執行停止決議は,加盟国中123か国が支持をしました(反対:38か国,棄権:24か国)。

自由権規約委員会の一般的意見36は,「死刑を廃止していない締約国は,予測しうる将来において事実上および法律上,完全に死刑を廃止することから後戻りをすることはできない」ことを同規約第6条第6項が確認しているとし(同意見第50項),さらには,国際社会の死刑廃止国等の増加は「締約国の間で死刑が残虐で非人道的あるいは品位を傷つける刑罰であるという認識での合意の形成に向けて大きな前進がなされたことを示している」とまで指摘しています(同意見第51項)。

国連は,全ての国に死刑廃止へ向かうことを求め,寛容と共生の社会が形成され,成熟することを願っています。いかなる犯罪者であっても「人間」であることを見失ってはなりません。私たちは,一時期の感情に流されて他者に報復するのではなく,包摂し共生するという優しさと強さを養っていく必要があります。

そして,死刑の廃止は,人間の尊厳と生命権(生きる権利)を奪い得ない権利とする価値観を共有し,寛容と共生の社会を形成・成熟させることに意味があり,世界の自由,正義及び平和の実現に目的があります。そして,このような価値観の共有を目指すとき,被害者・遺族の被害回復・支援の充実化は当然に要請されるのです。犯罪抑止(犯罪予防・再犯防止)のための社会政策・刑事政策もまた要請されます。なぜなら,寛容と共生の社会においては,全ての人々について人間の尊厳と生命権(生きる権利)が国家によって尊重されなければならないからです。

いまだ死刑制度を残し,死刑を執行している国が更に少なくなっている中で,死刑廃止に向けて立ち上がってくださることを心から期待します。

2021年(令和3年)313

 

日本弁護士連合会

会長 荒 中

国際弁護士連盟

会長 Jorge Marti Moreno 

駐日欧州連合特命全権大使
 

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