欧州委員会、アイルランド/北アイルランドに関する修正議定書と修正政治宣言を支持するよう、欧州理事会に勧告

17.10.2019

EU News 184/2019

<日本語仮抄訳>

 

欧州委員会は本日、英国を除く欧州理事会(EU首脳会議)に対し、交渉官の間で合意されたアイルランド/北アイルランドに関する修正議定書を含む脱退協定を支持し、欧州連合(EU)と英国の将来関係の枠組みに関する改正政治宣言を承認するよう勧告した。欧州委員会はまた、欧州議会がこの合意に同意するよう勧告した。これは、ここ数日間の欧州委員会と英国双方の交渉官の間の複数回に及ぶ集中的な交渉を受けた動きである。

 

修正された議定書は、アイルランド島における厳格な国境管理を避け、島全体の経済と聖金曜日合意の全ての側面を守り、EU単一市場の一体性を堅持することを可能にする、法的に運用可能な解決法を提供する。このやり方は、アイルランド島の平和と安定を維持することを目的に、同島独自の状況に対応している。

 

脱退協定の他の要素は全て、2018年11月14日の合意と実質的に変わらない。同協定は、市民の権利、財政上の清算、少なくとも2020年末までの移行期間、ガバナンスおよびジブラルタルやキプロスに関する議定書、ならびにその他分離によって起こる多くの問題といった、英国の脱退が生み出す不確実性に対し、法的確実性をもたらす。

 

修正された脱退協定

規則については、厳格な国境管理を避けるために北アイルランドは引き続き、EUの単一市場に関する一部のルール――物品に関する法制、衛生植物検疫措置、農業生産・市場開拓に関するルール、付加価値税と物品税および国家補助規則――に従う。

 

税関については、2018年11月に合意されたEU・英国単一税関領域は、現英国政府の要請により、アイルランド/北アイルランドに関する修正議定書から削除された。両者の交渉官たちは、アイルランド島における税関のある国境を避けつつも、北アイルランドが引き続き英国の関税区域であり続けることを保障する新たな方法を見つけ出した。この合意は、EUの単一市場と関税同盟の一体性を完全に守りながら、アイルランドと北アイルランドの間の国境でのあらゆる規制や税関に関する検査を回避することを可能にする。

 

最後にEUと英国は、北アイルランドにおける関連EU法の長期的適用について、北アイルランド議会議員に最終的な「同意権」を与える新しいメカニズムを作ることで合意した。この点について、欧州委員会はアイルランド政府と緊密に連絡をとってきた。

 

修正された政治宣言

政治宣言の主な修正点は、EUと英国の将来の経済関係についてのもので、現英国政府は自由貿易協定(FTA)に基づくモデルを希望した。同宣言は、両者間の関税や輸入割り当ての無い野心的なFTAを規定している。公平な条件の下での確固たるコミットメントによって、開かれた公正な競争を確保できるとした。これらのコミットメントの厳密な性質は、将来関係への野心の度合いと等しいものとし、経済上の連結と英国の地理的近さを考慮する。

 

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