駐日欧州連合代表部

日・EU科学技術関係

10/09/2018 - 13:00
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欧州は、研究・イノベーション分野において、長い伝統と優れた歴史を持っています。

研究・イノベーションに精力的な欧州

欧州は、研究・イノベーション分野(R&I)において、長い伝統と優れた歴史を持っています。欧州連合(EU)の人口は世界のわずか約7%ながら、世界の総研究支出の4分 の1、高被引用論文および特許出願の3分の1を占めています。研究・イノベーションは、EUの28加盟国それぞれのレベル、およびEUレベルの双方で推進されています。

本ページでは、EUの研究・イノベーション政策に関する基本的な情報、日本との協力、およびEUの主要な研究・イノベーション資金助成プログラムである「ホライズン2020(Horizon 2020)」について紹介しています。なお、ホライズン2020への日本からの参加方法についてはこちら(英語)です。

 

EUによる研究・イノベーション促進

EUは1984年に、多年次資金助成プログラムである「研究・技術開発枠組み計画(Framework Programme=FP)」を開始し、2013年まで7次にわたって、研究・イノベーションを推進してきました。2014年から2020年までの7年間を対象とする現行の枠組み計画「ホライズン2020」は、総予算額800億ユーロに迫るEU史上最大のプログラムで、公募とピアレビュー、競争原理(competitive call process)に基づき、研究機関、大学、および革新的な企業や大小の企業に資金を分配します。この助成は、卓越した科学、産業競争力の強化、および社会的課題の解決を支援することを目的としています。ホライズン2020で重要なのは、世界各国の研究者が参加できる点です。

そのほか、EUはさまざまな取り組みを通して研究・イノベーションを推進しています。EUの主導の下に実現した欧州研究領域(European Research Area=ERA)は、欧州を研究を行う場として一つに統合し、世界に開き、研究者・知識・技術の移動の自由を確保しました。ERAは、EUおよび加盟国の科学的・技術的基盤、競争力、そして共通の社会的課題に共同で取り組む力を強化することを目的としています。

もうひとつのイニシアチブは欧州2020戦略(Europe 2020 Strategy)」です。 この戦略は、EUの経済成長と雇用を促す製品やサービスに実用化できる優れたアイディアを生むにふさわしい、イノベーションに適した環境を作っていくことを目標としています。 ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長が2015年の自身の任期開始時に発表した、10の優先事項の実現は、全ての経済分野における広範囲に及ぶイノベーションにかかっており、またそれを促進します。これは、デジタル単一市場とエネルギー同盟の取り組みに特に当てはまります。

 

科学・技術・イノベーションにおける日・EU協力

日本とEUは、1988年以降、さまざまな二者間・多極間協定を締結しており、近年ではますます緊密で多角的な関係を築いています。 科学技術イノベーション分野においては、2009年に科学技術協力協定(英語) に署名、2011年3月20日に発効しました。この協定により、日・EUは科学技術分野における協力を一層拡大・強化することを誓約し、また、科学技術政策に関する情報・意見交換、優先分野の特定、両国の研究・イノベーションプログラムへの相互参加などを討議する場として、科学技術協力合同委員会を設置しました。この委員会は少なくとも2年に1回開催されています。1回合同委員会は2011年6月、次いで2回合同委員会が2013年6月に、東京で開催されました。3回合同委員会はブリュッセルに場所を移し、2015年5月に開催。この会合において、日・EU間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップに関する「共同ビジョンを採択するに至りました。最も最近では、2017年11月に東京で合同委員会が催されました。

欧州委員会は2年ごとに日・EU科学技術協力の指針を更新しています。2017年10月に発表された最新版はこちら(英語)

科学・技術・イノベーションにおける日・EUの緊密で友好的な関係は、日・EU両首脳によっても認識され、首脳たちは科学技術協力の潜在力を解き放つことを求めました(21回 日・EU定期首脳協議 共同プレス声明第17項)。以降の首脳協議においても、同様の決意が繰り返されています(22回 日・EU定期首脳協議 共同プレス声明第14項)。2015年5月29日に開催された第23回定期首脳協議では、両首脳陣により、日・EU間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップに関する共同ビジョンが承認されました。

 

日・EU協力

EUにとって日本との科学・技術・イノベーション(STI)協力は戦略的な重要性を持ちます。双方は、研究における優先事項や社会的課題の多くを共有しており、そのような意味合いでも、ホライズン2020への日本からの参加を歓迎します。参加は以下のような形で可能です。

日・EU協力の事例

  • ホライズン2020の一般公募を通した協力。日本の研究機関は全ての分野のプロジェクトに応募可能。日本をはじめとした先進国の場合、特定の互恵的協定が結ばれているか、あるいはワークプログラム(WP)に記載されているなどの例外的なケースを除いて、EUの助成対象とはならない。2015年10月に、科学技術振興機構(JST)と欧州委員会による新しい共同助成の枠組みがスタートし、これにより、ホライズン2020に参加する日本の研究者(機関)に対してJSTが研究費を提供することが可能になった。2016年~2017年のWPにおいては、「パワーエレクトロニクス」、「希少元素代替材料」の2分野における公募に適用された。詳細はJSTの公募ページを参照。
    2018年~2020年のWPにおいては、災害復旧における「災害初期対応技術」の分野が共同研究の公募に加わり、2018年、2019年、2020年に募集される。詳細はJST のウェブページにて。
  • EUと日本の省庁による共同公募を通した協力。共通の関心分野における共同プロジェクトに対し、双方が自国の研究者に対して同額の助成を提供する。直近では、太陽光発電、超伝導、航空、希少原料、情報通信技術(ICT)において共同公募が実施された。
  • 個人の研究者や研究に携わる者は、マリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクションズ(MSCA)による研究者交流(モビリティ)プログラムに応募することができる。そのほか、優秀なトップレベルの研究者に資金が提供される欧州研究会議(ERC)の助成にも、もちろん応募可能。2015年5月に、日本学術振興会(JSPS)と欧州委員会の間で新しい協定が結ばれ、JSPSの若手研究者が欧州を訪れ、最大1年間、ERCが助成する研究チームの一員となることが可能になった。詳細はERCのプレスリリース(英語)または、JSPSのホームページを参照。2018年10月、JSTとの間で類似の取り決めがなされた。
  • 原子力研究における協力は欧州原子力共同体(Euratom=ユーラトム)リサーチプログラムの下で行われている。
  • 核融合エネルギー研究では、そのほかに「幅広いアプローチ活動」(Broader Approach=BA)として、日・EUで協力を図っている。BA活動では、核融合エネルギー実証実験炉の実現に向けて、3つのプロジェクトが進められている。
  • 日・EUの政策立案者、研究者および産業家は、毎年10月上旬、STSフォーラム前日に京都で開催される日・EU科学政策フォーラムをはじめとし、さまざまな場において対話を重ねている。2018年10月06日に開催された第9回 日・EU科学政策フォーラムに関する記事はこちら。EU MAGの関連記事はこちら
  • 研究・イノベーション分野における日・EU協力を幅広く知ってもらうため、双方は一般市民に向けたアウトリーチ活動は不可欠と考えている。2015年以来、駐日EU代表部は日本最大級のサイエンスコミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ」への欧州としての参加を取りまとめている。2017年のサイエンスアゴラに関する記事はこちら
  • 日本とEUはまた、「多極的枠組み」の文脈でも協力をしている。一つの例として 「国際熱核融合実験炉(ITER、イーター)がある。ITERとは、トカマク方式による核融合エネルギーが科学技術的に成立することを実証するための、超大型国際科学実験プロジェクトのこと。EU、中国、インド、日本、韓国、ロシアおよび米国が参加している。ITERは2010年にフランスのカダラッシュで建設が始まった。今後、次の段階のため商業目的で核融合エネルギーを利用できることを実証炉を使って証明するための、さまざまな技術をテストする。ITER以外の多極間協力プロジェクトとしては、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)が挙げられる。

第9回日・EU科学技術政策フォーラム(2018年10月06日、京都)

 

 

2015年サイエンスアゴラにおけるEUの企画(YouTube

 

2016年サイエンスアゴラにおけるEUの企画

 

2017年のサイエンスアゴラに参加したEU

 

2018年のサイエンスアゴラに出展したEUブース

 

欧州研究会議(ERC)設立10周年記念「Beyond the first 10 years (最初の10年とその先)」(2017年3月29日、駐日EU代表部にて)
*ジャン=ピエール・ブルギニョンERC理事長による基調講演およびERCから助成金を受給した日本人研究者たちのビデオメッセージはこちらでご覧いただけます。

 

欧州研究・イノベーション枠組み計画への日本の参加

日本とEUはこれまで成功裏に研究協力を重ねてきましたが、そこには重要な改善と向上の余地があります。FP7の下で、共同研究プロジェクト、ERC、またマリー・キュリー・アクションズの、 151件の助成金に日本から177回の参加がありました

共同研究プロジェクトの幅広い分野への日本からの参加は117回でした。(下記図参照)。

2018年11月7日時点で、ホライズン2020の下、マリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクションズおよびERCの助成に対し、日本は98件の署名済み共同研究助成に122回にわたって参加をしています。日本からの参加者は研究者交流(マリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクションズ - 89件)の中では最も活発です。

その他、環境研究、ナノテクノロジーと希少原料(NMBP)、ユーラトムを通しての原子力研究、そして情報通信技術(ICT)に関しては下図を参照。

 

ホライズン2020における日本の参加申請の成功率は、平均の14.7%よりも高く、20%程度となっています。
日本の学者や研究機関、企業も同じような割合でホライズン2020に参加しています。
さらに、2018年11月7日時点で、欧州研究会議(ERC)から32件の助成金が日本の研究者に授与されています。

2011年以降、日本では以下の分野に9つの共同公募がありました。

・経済産業省との航空宇宙分野

・総務省との情報通信(ICT)分野とアクティブで健康なエイジング分野

・科学技術振興機構(JST)との新素材、希少原料の分野

・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) との新エネルギー分野

ホライズン2020の下、2018年から2020年の間に、さらに新しい共同公募(特にICT分野)が開始されます。

 

ホライズン2020における将来的な協力の可能性

2015年にブリュッセルで開催された第3回日・EU科学技術協力合同委員会以降、特にICT、運輸(とりわけ航空分野、また自動運転技術での協力の可能性を含む)、先端(希少)材料研究などの、共通の関心分野における研究・イノベーション協力活動の実施について討議されました。健康・医療研究などの重要な分野における共同研究の最近の進展が、将来の協力に関するアイデアと共に示されました。

双方は、とりわけナノテクノロジーと化学品、計測学と測定、およびエネルギーといった相互に有益な分野での協力を発展させる、産業技術総合研究所(AIST)と共同研究センター(Joint Research Centre=JRC)の間の研究枠組み協定を歓迎しました。

また、再生エネルギー研究、北極圏研究、地震早期警報システムや、自然を基礎とした解決を含む、災害リスク軽減(DRR)、さらには量子技術といった将来の協力が見込める分野についても意見交換がなされました。日本とEUはホライズン2020の日本のナショナルコンタクトポイントと、幅広い参画を喚起するためのそのアウトリーチ活動の重要性を確認しました。

ホライズン2020の2018年~2020年ワークプログラムでは、22のテーマで、日本の研究者との研究を積極的に募集しています。

 

リサーチ&イノベーション(R&I)についての過去のプロジェクトの事例や進行中の事例などを、より詳しく知りたい方、また詳しい規定、出版物や統計、将来のパートナーを探す機会等について知りたい方は、こちらをご覧下さい。

リサーチプロジェクトにおけるこれまでの日・EU協力についての事例をこちらでご覧いただけます。 
パンフレット(日本語版英語版

日・EU科学政策協力についての情報はこちらでご覧いただけます。

 

ホライズン・ヨーロッパ(20212027- ホライズン2020を超えて

2018年6月7日、欧州委員会は「ホライズン2020」の成功実績を土台とし、1,000億ユーロもの予算を拠出する次の研究イノベーションプログラムである「ホライズン・ヨーロッパ」の立ち上げを発表しました。

ホライズン・ヨーロッパでは今までの国際協力はそのまま引き継がれる上、科学技術・イノベーションにおいてEUと日本は今まで以上に密接に協力していくことになります。2018年7月17日に締結された、「日・EU経済連携協定」(下記のプレスリリース参照)により、EUと日本のさらなる新しい関係を築くきっかけになることでしょう。

 

この数十年、欧州経済の成長の3分の2はイノベーションによってけん引されてきました。ホライズン・ヨーロッパは新たなより多くの知識と技術を生み、科学的卓越性を促進し、成長・貿易・投資に貢献するとともに社会や環境に大きな影響を与えます。

欧州研究会議(European Research Council- ERC)とマリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクションズの奨学金や交流制度を通じて科学的卓越性を促し続けながら、ホライズン・ヨーロッパには以下の主要な特徴が盛り込まれます。

「欧州イノベーション会議」:EUが市場創出につながるイノベーションの最先端に立つことを助長する、「欧州イノベーション会議」(European Innovation Council [EIC])を設立すること。

EU全域対象の研究・イノベーションミッション:社会的課題や産業の競争力に焦点を当てた、EU全域が対象の研究・イノベーションミッションを立ち上げること。

EU全域におけるイノベーションの潜在能力の最大化

開放性の拡大:「オープンサイエンス」の原則の下、出版物やデータへのアクセスへの透明性を目指すこと。これにより、EUが拠出する予算による市場でのイノベーションの可能性をより広げること。

新たな欧州パートナーシップや他のEUの取り組みとの協力の拡大:

ホライズン・ヨーロッパは「結束政策」「欧州防衛予算」「デジタル・ヨーロッパ計画」「コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ」そして「ITER (国際熱核融合実験炉)」などのEUの政策やプロジェクトとリンクし、協力を拡大していくこと。

ホライズン・ヨーロッパの提案に関するプレスリリース

これまでのEU研究・イノベーションの共同研究計画と予算の事例:

 

ホライズン・ヨーロッパの概要と予算:

 

ホライズン・ヨーロッパのより詳細な情報はこちら(英)

 

アクティビティ

フロア次期EU大使、JAXA の大西卓哉宇宙飛行士などと鹿児島県の種子島宇宙センターで温室効果ガス観測技術衛星「いぶき2号」の打ち上げに立ち会う (2018年10月29日、鹿児島県種子島 © The EU Delegation to Japan)  

関連情報

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