ボレルEU上級代表、世界報道自由デーに寄せて声明を発表

02.05.2020

EU News 114/2020

<日本語仮訳>

ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級兼欧州委員会副委員長は、世界報道自由デー(5月3日)を前に、EUを代表して以下の声明を発表した。

「世界報道自由デーにわれわれは、民主的社会におけるインターネット上および伝統的媒体における表現の自由の維持と、透明性と説明責任の醸成に向け、ジャーナリズムが果たす不可欠な役割に敬意を表する。

新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらした危機は、報道の役割の重要性を浮き彫りにした。不確実な時代には今まで以上に、過度な干渉や不適切な影響を受けない、信頼できる、事実検証された情報へのアクセスが不可欠であり、よりレジリエンスを有する社会に貢献する。今般のパンデミックがいくつかの国において、報道の自由に不当な制限を課す口実に使われていることは、気掛かりである。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックがさらなるリスクや課題をもたらしているのにもかかわらず、世界中のジャーナリストやメディア従事者は、時には厳しい状況において、その欠くことのできない仕事に取り組み続けている。彼らは、最も脆弱な立場に置かれた人々に声を与え、その物語が聞こえるようにしている。紛争地域を含め、容易には行けない場所から証言をもたらしている。世界各地における今般のパンデミックの、しばしば破壊的な影響についての極めて重要な情報や、連帯や勇気に関する話を提供している。

ジャーナリストは、社会がどうすれば、現在直面しているような課題に対しよりよく準備することができ、究極的により安全で繁栄する持続可能なものになりうるかについて、円滑な議論を行えるようにするために極めて重要だ。彼らは、自由に活動できなければならない。今日、恐らくかつてないほど、報道の自由は、市民が信頼できる情報にアクセスし、情報に基づいた選択ができる場合にのみ力強くなれる民主社会の礎となっている。ジャーナリズムは、ディスインフォメーションの検知と反撃の一助となる。

あまりに多くの国々において、ジャーナリストは表現や報道の自由を抑圧する、時には今般の新型コロナウイルスの緊急事態を理由に定められた制限的な法律と闘わなければならない。インターネットやウェブサイトの遮断や閉鎖は急増している。記者、特に女性記者は、組織的中傷、経済的圧力および政府や偏ったメディア機関による攻撃を受け、自己検閲を強いられている。あまりに多くの記者が嫌がらせ行為、恣意的逮捕および投獄に直面している。あまりに多くのジャーナリストが、その仕事のために命を失っている。

EUは、域内外において、メディア機関を含め、今般のパンデミックの保健、人権および社会経済における影響に対抗すべく、取り組みを進めている。表現の自由の堅持の必要性には妥協しない一方で、EUの対策はまた、新型コロナウイルス感染症に関するディスインフォメーションと闘うことにも焦点を当てている。これには、信頼できる情報源を奨励し、誤った、もしくは誤解を与えるコンテンツを下位に置き、違法なコンテンツを削除することを伴う。これらの行為は、日々の取り組みで社会をより安全、より公正およびより民主的にする、熱心で勇気あるジャーナリストの誠実な仕事を土台にすることによってのみ成功する。

EUは本日、世界各地の独立した、信頼できるメディアの果たす重要な役割への支援継続を強く再確認する。報道の自由は、メディア従事者のみならず、われわれ一人ひとりの権利である」

 

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